今、私たちが生きている社会では知識や情報へのアクセスが容易になり、分からないことや困難に直面した時に、「答え」のように見えるものにはたどり着きやすくなっています。
しかし、そもそも「問い」を立てる力はどうでしょうか。「問い」そのものが明確でないまま「答え」を見つけようとしていることはないでしょうか。上記で「答えのように見えるもの」と書いたのは、自らの「問い」が十分に検討されていないために、見つかった「答え」に納得がいかず、さらに答えを探し求める、ということが多いのではと感じるからです。
私が大学で担当する授業では、自らの問いを発し、それを吟味することを大切にしたいと考えています。THOUSAND-PORTの提供する価値である「自立した個人への変容」「健全な批判力と問いを立てる力の醸成」は、まさに私自身のテーマでもあります。
代表理事の鈴木さんには、私の勤める大学の外部講師として、授業の中でご自身の経験を語っていただいたり、ブロックを使ったキャリア探索ワークショップをご担当いただいたりしています。学生との関わりの中で、鈴木さんは「問い」をたくさん投げかけてくださいます。鈴木さんの「問い」によって、学生たちは自らの無知と向き合い、揺さぶられ、自分自身の経験を振り返らざるを得なくなります。そして、その場に集まった仲間と語り合うことで、新しい自分と出会っていきます。鈴木さんの講義は、キャリアを探索することには苦しい面もあるけれど、自分を発見していく喜びもあること、そしてそれは決して一人きりの孤独な作業ではないということを伝えてくださっています。
これからも自ら問い、自ら答えを探す姿勢を若者たちに身につけてもらうためのプロジェクトを生み出し続けていってほしいです。