新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

この場をかりて、昨年の簡単な総括から、今年の所信表明をもって新年のご挨拶とさせていただきます。

2013年の振り返り〜個人の経験は何者にも奪えない〜

昨年は、NPO専従化二年目にして、カオスからの創造を体験した一年でした。
具体的には、
・ワーク・シフトで描かれた様な「コ・クリエーション」のワークスタイルが出現・増殖し、
・目的的且つ利他的な行動がフォロワー(ここではご支援くださる方)を巻き込み、
・そして、民間での経験やノウハウが地域や教育の領域で(こそ)合理性を発揮しつつ創発を起こす、ことです。

以下は、その実績を簡単に列記したものです。

1月 「次代を担う青少年」の「主体的に社会と職業人生に関わる内発的動機醸成」の為の活動に焦点化する
2月 墨田区学校支援ネットワークと協働し、公立小中学校での授業開発
4月 マチナカデミアプロジェクト始動
6月 マチナカデミア第一回体験会、墨田区内公立小学校での出張授業開始(その後児童館等にも拡大)
8月 マチナカデミア第二回体験会
10月 マチナカデミア開校

ビクトール・フランクルの言う「個人の経験は何者にも奪えない」、の裏返しとして「経験をした者しか理解・共感できない物語がある」ことを経験した一年だったのです。
それは決して朝日に照らされた順風満帆な航海ではなく、永遠に続くかも知れない恐怖が押し寄せる真夜中の嵐の中の航海でした。
明けない夜はない、と言う気はありませんが、その嵐をくぐり抜けて一つ目の港に辿り着くことが出来たかも知れません。

地域コミュニティ、で働く意味

今年も、ローカル・コミュニティにいながら、世界市民の一人として学び、暮らし、働くとは、と問い続けていきます。
それは、来るグローバル化前夜に、ナショナリズムやFDUの文脈ではなく、世界市民としての役割を、ローカルコミュニティにいながら果たすことであり、「社会をかえる」といった大上段な掛け声ではなく、「地域」と言う縮尺でゲリラ戦を仕掛けると言うことです。何故なら、全体と地域はフラクタル(化していく)だからです。

グローバル化とフラット化によって、(否定的な意味での)ノマド化が不可避で不可逆なのが事実とすれば、「自分の住処(≒所属するコミュニティ)」を問わずグローバルに行動することが歴史上初めて可能な時代となった(但し、自分の住んでいいる場所にいつづけることを目的化してはいけないが)こともまた事実と言えます。
ウィークタイで結ばれた私を含む個人は、一つは地理的なコミュニティとして横方向だけではなく縦(多世代)方向の厚みを持ちながら、包摂する他者である個人(そして自身)を成長させながら排他的・体制批判的な性格を帯びることなく成熟していき、一つはネットにより協働・並列化することでアソシエーション化し、個人はその両者を同時進行し個人は相互を行き来することになるでしょう。
それがリンダ・グラットンの言う「自己再生のコミュニティ」なのだろうと解釈しています。

「所属」から、「自ら企てる」個人へ

上記の流れによって「国家」や「中心」といった権威が曖昧になることは、人間の根源的な所属の欲求から激しい恐怖に駆られるでしょうが、その不安や恐怖に恐れずに向きあうことこそ、”利他主義者であり、世界市民である自分たちの幸せは他社の幸せに依存していることを悟り、また人類は平和を通じて互いに連携する他に生き延びる方法がないことを悟っ”た、21世紀の歴史を生きる「トランス・ヒューマン」の実践に他なりません。

最後に、私自身のより具体的な活動で言えば、”自らの”愚かさに目を背けず愛しながら、”自明なこと。公準と思っていることを再度問い直し、様々な慣習、思考や行動の様式に揺さぶりをかけ、一般に通用している”馴れ馴れしさ”を一掃し、もろもろの規則や制度をもう一度測定しなおす(フーコー)”、共育の機会をTHOUSAND-PORTを通じて、そして共同事業であるマチナカデミアを通じて提供していきたいと考えています。

皆さま、引き続きご指導よろしくお願いします。

NPO法人 THOUSAND-PORT
代表理事 鈴木篤司